なぜ私たちは悪夢を見るのか?
私たちは眠っている間、さまざまな夢を見ます。うれしい出来事を追体験したり、誰かと再会したり、時には恐怖で目が覚めるような悪夢にうなされることもあります。現実ではありえないような不思議な夢を見ることもあるでしょう。
では、なぜ私たちはこのように多様な夢を体験するのでしょうか。

精神分析の創始者であるフロイトは、私たちが夢を見る理由について「一日の経験を記憶として整理する過程である」と述べています。まるで一日の終わりに日記を書くように、私たちの脳は睡眠中にその日あった出来事を整理し、重要な情報を記憶として保存します。この過程の中で、夢は一日の記憶の断片が組み合わさって生まれるのだと考えられています。
また、フロイトは「新しい経験をした日ほど、その出来事を夢で鮮明に見る可能性が高い」とも指摘しています。著書『夢判断』の中で彼は、夢が単なる映像ではなく、心の奥にある欲求や不安、衝動などの心理的要素を映し出すものであると説きました。
悪夢とは?
悪夢とは、恐怖や不安を強く感じる夢のことを指します。主にレム睡眠(REM睡眠)が多くなる睡眠の中盤から後半、特に明け方にかけて見られることが多いとされています。
悪夢を見た夜に起こること
悪夢を見ているとき、私たちの体の中ではさまざまな反応が起きています。多くの場合、悪夢を見た人は驚いて目を覚まし、その内容の一部、あるいは全体を鮮明に覚えている場合があります。夢の中では、何かに追われたり、恐ろしい出来事を目撃したりと、強い恐怖や苦痛を感じる体験が繰り返されることが多いでしょう。また、夜中に冷や汗をかいて目を覚ました経験をした方も少なくないのではないでしょうか。では、なぜこのような悪夢を見るのでしょうか。

1. 心配やストレス
交通事故を目撃したり、大切なものを失った経験は、心に深い傷を残すことがあります。こうした体験は強い不安やストレスを引き起こし、その影響で悪夢を見ることがあります。衝撃的な出来事によって脳の記憶を整理する働きが妨げられると、トラウマの後遺症として、不眠や悪夢が続くこともあります。
2018年と2019年に発表された、ストレス・睡眠障害・悪夢に関する研究では、ストレスが増えると睡眠の段階に変化が生じ、その結果、睡眠障害や悪夢の頻度が高くなることが報告されています。さらに、心配性の傾向が強い人ほど、睡眠に関する問題を抱えやすいこともわかっています。 また、2017年の研究では、トラウマを経験した人がより頻繁に悪夢を見やすい傾向があることが明らかになりました。悪夢の原因となるトラウマを無理に抑え込んだり避けようとするのではなく、その影響を理解し、少しずつ心の中で整理していくことで、悪夢の回数を減らすことができるとされています。
2. 食生活
食生活が悪夢に与える影響については、まだ多くの研究が行われていません。しかし、近年のいくつかの研究では、食生活が睡眠に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。たとえば、辛い食べ物をよく食べる人は睡眠の質が低下しやすく、高脂肪の食事を続けている人も同様に睡眠の質が悪いという結果が報告されています。こうした食生活が悪夢そのものの直接的な原因になるわけではありませんが、睡眠の質を下げることで、悪夢を見やすくする可能性があります。
3. アルコールと薬物
お酒は一時的に眠りを誘いやすくしますが、深い睡眠を妨げ、悪夢を見る頻度が多くなる傾向があります。特に、アルコールを摂取した後に見る夢は、より現実的で印象の強い内容になりやすいといわれています。また、睡眠薬や抗うつ薬、パーキンソン病の治療薬、高血圧の治療薬なども、悪夢の原因となることがあります。もし服用中に嫌な夢を見ることが続く場合は、自己判断せずに医師へ相談し、薬の調整を検討してもらうことが大切です。
4. 疾病
風邪などの発熱を伴う病気や、睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害は、悪夢を引き起こす原因の一つと考えられています。特に発熱は、子どもや若い世代で悪夢の発生と強く関係していることがわかっています。2016年にE. van den Hoogenhofらが行った研究では、病気による体温の上昇が悪夢を引き起こす重要な要因となる可能性があることが報告されました。また、睡眠時無呼吸症候群のように、睡眠中に呼吸が乱れる人は、悪夢を頻繁に見る傾向があります。これは、睡眠中に脳へ十分な酸素が届かないことが関係していると考えられています。

今回は、悪夢を見る原因について紹介しました。悪夢を防ぐために大切なのは、何よりも質の良い睡眠をとることです。
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