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眠らずに過ごす一晩。その代償とは?

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気づけば夜遅くまで仕事をしていたり、緊急の対応で眠れないまま朝を迎えたり。そんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。一晩中起きていると、その瞬間は「集中できている」と感じるかもしれません。けれど、あとから心や体に思わぬ影響を残すこともあります。

今回は、徹夜がもたらす影響と、やむを得ず徹夜をする際に気をつけたいこと、そして徹夜の意外な一面について見ていきましょう。

一晩中起きて過ごすとということ

徹夜とは、意図的に眠らずに24時間以上を過ごすことを指します。試験勉強や締め切り前の仕事などで仕方なく起きていることもあれば、好きなドラマや本に夢中になって気づけば朝を迎えていた——徹夜の理由は人によってさまざまです。

ただし、徹夜は一見自分の意思でコントロールできるように思えても、実際には体や心に大きな負担を与えます。眠らずに過ごした翌日、集中力の低下や気分の不安定さを感じたことがある人もいるのではないでしょうか。徹夜は、その瞬間の時間を確保する代わりに、翌日の自分のコンディションを犠牲にしているとも言えます。では、24時間眠らないとどうなるのでしょうか?

24時間眠らずにいる様子

専門家によると、大人は1日に少なくとも7時間の睡眠をとることが必要だといわれています。ところが、徹夜をするとこの大切な睡眠時間をまるごと失うことになります。その結果、私たちの反応速度や判断力は低下し、まるでお酒を飲んだときのように動きが鈍くなってしまうのです。

1. 思考力の低下

睡眠不足の影響として、まず挙げられるのが認知機能の低下です。十分な睡眠が取れないと、物事を正確に理解したり記憶したりする力が落ち、注意力や判断力も鈍くなります。その結果、些細なミスが増えたり、決断に時間がかかるようになったりと、日常生活や仕事のパフォーマンスに大きな影響を及ぼします。

2. 集中力の低下

学生が十分に睡眠をとらない場合、新しい知識を学ぶ際に集中力や注意力が低下し、混乱したり誤って記憶してしまうことがあります。こうした影響は徹夜をした当日だけでなく、数日間続くこともあります。睡眠医学の専門医であるアビナート・シン博士によると、急性的な睡眠不足は酔った状態よりも早く判断力の低下を引き起こす可能性があるといわれています2

3. 感情コントロール

睡眠不足によって起こるもう一つの影響が、感情の不安定さです。睡眠が不足すると、青少年も成人も精神的なバランスを崩しやすくなり、うつ状態や怒りっぽさ、混乱などが現れることがあります。人は十分に休息を取らないと、感情を安定して保つことが難しくなるのです。さらに、ある研究では24時間眠らないだけで気分が大きく落ち込み、ネガティブな感情に傾くことが明らかになっています。その結果、他人の感情を理解する力や、自分の気持ちを適切に表現する力にも悪影響を及ぼします。

4. 身体の不調

最後に現れる変化は、体の痛みを感じやすくなることです。私たちの体は、夜のあいだに筋肉を休め、傷ついた組織を修復する働きをしています。しかし、徹夜をするとこの回復のプロセスが十分に行われず、疲労が蓄積したまま免疫力が低下してしまいます。その結果、体温や痛みに対して敏感になり、普段よりも痛みを強く感じたり、最終的には、痛みに耐えられなくなる可能性があります。

どうしても徹夜が必要なときに気をつけたいこと

机で徹夜している様子

忙しい日々の中では、どうしても眠れない夜があるものです。仕事や勉強で夜更かしを避けられないときもありますよね。そんなときに少しでも心身を楽にし、翌日に備えるためのコツをお伝えします。3

1. カフェインの活用

カフェインは睡眠の代わりにはなりませんが、短時間の徹夜を乗り切る助けにはなります。とはいえ、摂りすぎには注意が必要です。1日のカフェイン摂取量はおよそ400mg以下、コーヒーで言えば4杯ほどが目安とされています。それ以上の摂取は、かえって体に負担をかける可能性があります。

2. 明かりでリズムを整える

光を浴びると、一時的に眠気がやわらぎ、集中力が高まります。徹夜をする夜は、できるだけ明るい照明の中で過ごすことが大切です。暗い部屋で過ごすよりも、朝のような明るさを作ることで体を覚醒状態に保ちやすくなります。 そして、徹夜明けの朝にはしっかりと日光を浴びて、生体リズムが大きく乱れないようにしましょう。


3. 健康的な食事を摂る

睡眠不足になると、つい甘いものに手が伸びてしまうものです。体はエネルギーを補おうとしてスナックやキャンディーを欲しますが、糖分の多い食品は血糖値を急上昇させ、かえって眠気を強めてしまいます。徹夜のときは、血糖値を安定させる軽めの食事を意識してとるようにしましょう。

徹夜のメリット!?

徹夜で仕事をしている様子

アメリカのノースウェスタン大学の研究チームは、徹夜に関してこれまでの常識とは少し異なる結果を報告しました。研究によると、一晩眠らない「急性の睡眠不足」が、一時的に幸福感を高めたり、うつ症状を和らげたりするなど、予想外のポジティブな影響をもたらす可能性があるといいます。たとえば、仕事などの事情で偶然徹夜をした人が、体の疲れを感じながらも、どこか気分が軽く、幸福感を覚えることがあるというのです。

これはいわゆる「パンチドランク効果」です⁴。この効果は、ドーパミンが一時的に多量に放出され、前頭前野に作用することで起こると考えられています。ですが、その効果はごく短期間に限られ、長期的に見ると睡眠不足は心身に深刻な悪影響を及ぼす危険があります。効率の面でも、徹夜で働くより、ジムで体を動かしたり、散歩をしたりする方がはるかに健全だといえるでしょう。

忙しい毎日の中で、「眠る時間さえ惜しい」と感じることもあるかもしれません。そんなときこそ、ナイトリーのモノラルビートで、短い時間でも深い休息を。ナイトリーは、脳を自然なリズムへと導き、深い睡眠の割合を高めることで、短い眠りでもしっかりと疲れを癒します。限られた時間の中でも、自分を整える“本当の休息”を体験してみてください。

テーマ
参照
      Lee Sojin. (2023). Clinical Significance of Periodic Limb Movement Disorder in Various Sleep Disorders. Sleep Psychophysiology, 30(1), 9-12, 10.14401/KASMED.2023.30.1.9.
      Eun Hongbeom, Baek Seongsoo. (2023). Effects of Exercise on Sleep in Middle-Aged and Older Adults: A Systematic Literature Review and Meta-Analysis Approach. Exercise Science, 32(1), 21-32.
      Kang Eesoo. (2023). "The Effects of Trunk Stabilization Exercise with Expansion Breathing (TSEEB) on Sleep, Physical, and Psychological Factors in Elderly Individuals with Chronic Low Back Pain." Doctoral Dissertation, Dongguk University Graduate School, Seoul.
      Shin Yoona, Yoon Inae. (2022). Exercise and Sleep Disorders: A Systematic Literature Review. Journal of Korean Wellness, 17(1), 293-303, 10.21097/ksw.2022.2.17.1.293.
      Kang Ilgi, Oh Jaekeun, Kwon Ilsu. (2022). Effects of Cool-Down Methods After Resistance Exercise on Sleep Quality, Pain, and Muscle Function in Office Workers. Korean Society of Sports Science, 20(1), 397-405.
      Ahn Juhyun. (2022). "The Effects of Exercise Therapy on Cognitive Function, Depression, and Sleep in Elderly Individuals with Mild Cognitive Impairment: A Systematic Review and Meta-Analysis." Doctoral Dissertation, Kangwon National University Graduate School, Gangwon Province.
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