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夢を自分で操る——明晰夢の世界へ

4 min

明晰夢(めいせきむ)とは?

明晰夢とは、「これは夢だ」と夢の中で自分が気づいている状態の夢のことです。 たとえば、夢の中で「今、私は夢を見ている」と理解したまま、その内容をある程度コントロールできることもあります。

明晰夢を見やすくする方法としては、夢日記をつけて夢を思い出す習慣をつけることや、夢の中によく出てくる特徴(ドリームサイン)を意識して覚えておくことなどがあります。

明晰夢を見るには?

1. 夢日記をつける

夢日記は、目覚めた直後に書くのが理想的です。継続して夢日記をつけることで、自然と夢の内容をよく覚えられるようになり、夢の感覚に慣れることができます。

2. 夢のサインを見つける

夢のサイン(ドリームサイン)とは、夢の中で繰り返し登場する場所や物のことを指します。 たとえば、よく職場や学校が出てきたり、いつも腕時計をしているのに夢の中では時間が読めない、といった特徴です。 夢日記とこのドリームサインを意識的に活用することで、夢の中で「これは夢だ」と気づける可能性が高まります1

3. 目が覚めたあと、もう一度眠りにつき浅い眠りへ

明晰夢を見やすくするもう一つの方法は、いったん目が覚めたあとに再び眠ることです。 睡眠は、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)が交互に繰り返されるサイクルで成り立っています。 夢は主にレム睡眠のときに見られるため、目覚めた直後に再び眠ることでこの浅い眠りに入りやすくなり、明晰夢を見る可能性が高まります。 実際に、この方法で明晰夢を体験したという人も多くいます。

明晰夢の種類

明晰夢の方法は、大きく分けて「夢の中で気づく練習」と「意識的に明晰夢を起こす方法」の2つがあります。 それぞれに特徴があるため、自分に合ったやり方を見つけることが大切です。2

1. ワイルド・ドリーム(WILD, Wake-Initiated Lucid Dream)

ワイルド・ドリーム(WILD)とは、目が覚めたままの意識でそのまま夢の中に入る方法です。 レム睡眠の途中で一時的に意識が戻ることがあり、そのタイミングで体の感覚が変化しながら、夢の世界へ移行していきます。 このときの感覚は「金縛り」に近いため、普段から金縛りを経験しやすい人は、この方法で明晰夢を見やすいといわれています。

ワイルド・ドリームを試す方法

  1. 1時間から5時間ほど仮眠をとったあと、目が覚めたタイミングで再び眠るようにします。 その際、直前に見ていた夢の内容を思い出しながら意識を保つと効果的です。
  2. 眠気がある状態で目を閉じ、金縛りに似た過渡期の状態に入るよう試みます。
  3. そのまま夢の中で「これは夢だ」と気づければ、明晰夢の状態に入ることができます。特に、朝目覚めたあとに軽く二度寝をする方法が、明晰夢を体験しやすいとされています。

明晰夢を見る方法を実践している人のイラスト


2. DILDドリーム (DILD, Dream-Initiated Lucid Dream)

DILDドリームとは、通常の夢の中で自分が夢を見ていると気づくことで、明晰夢へ移行する方法です。 多くの場合、夢の途中でふと「これは夢なんだ」と自覚した瞬間から、明晰夢が始まります。

DILDドリームを試す方法

DILDドリームは、夢日記をつけたり、夢の中に繰り返し現れる特徴(ドリームサイン)を意識したりすることで、成功しやすくなります。 また、リアリティチェック(Reality Check)を日常の習慣にすることで、現実と夢の違いを見分ける感覚が磨かれていきます。

  1. リアリティチェック

リアリティチェックとは、DILDドリームを成功させるために用いられる方法のひとつです。 日常では違和感のない動作を夢の中で試し、現実との違いを見分けるために行います。 たとえば、指を曲げてみる、鼻をつまんだまま息ができるか試す、手のひらに指を押し当ててみる、あるいは「これは夢かも?」と自分につぶやいてみるなどが代表的な方法です。覚えない行動を夢の中で試すことで夢と現実を区別するものです。

3. DEILDドリーム (DEILD, Dream-Exit Initiated Lucid Dream)

DEILDドリームは、WILDドリームを応用した明晰夢の方法で、夢から目が覚めた直後にもう一度眠り、再び夢の世界に戻ることを目指します。 目覚める直前に見ていた夢を思い出しながら眠りにつくことで、スムーズに同じ夢の続きへ入ることができます。 この方法は、明晰夢に慣れている人のあいだでよく実践されています。

DEILDドリームを成功させる方法

  1. 軽く眠ったあとに目が覚めたら、できるだけ体を動かさないようにしましょう。
  2. 目覚めてから数秒以内にそのまま眠りに戻ると、自然に夢の世界へ入りやすくなります。
  3. ほんの少しでも体を動かすと意識が完全に覚めてしまうことがあるため、そっと力を抜いてリラックスするのがポイントです。


4. FILDドリーム (FILD, Finger-Initiated Lucid Dream)

FILDドリームは、WILDやDILD、DEILDとは少し異なり、強い眠気の中で指先をほんのわずかに動かすことで明晰夢へ入る方法です。 初心者には少し難易度が高いため、明晰夢の感覚に慣れてから試すのがおすすめです。 特に、体の小さな動きや感覚に敏感な人に向いている方法です。

FILDドリームを試す方法

  1. 眠気が強くなり、まどろみの状態に入ったら、人差し指と中指をピアノを弾くように軽く動かしてみましょう。
  2. そのまま自然に夢の世界へ入ることができたら、夢の中でリアリティチェックを行い、明晰夢であるかを確認します。

その他の明晰夢の種類

マイルド・ドリーム(MILD)

目が覚めたあと、「次にこの夢を見よう」と明確な意図を持って再び眠る方法です。集中してそのイメージを思い描くことで、同じ夢に入りやすくなります。

フィールド・ドリーム(FILD)

明晰夢を見られなかったとき、自分にあえて小さな罰や制約を与えることで、次回に向けた意識を高める方法です。軽いプレッシャーを利用して夢への集中力を上げます。

リルド・ドリーム(LILD)

明晰夢に成功したあと、自分にご褒美を与えることで、夢を見るモチベーションを維持する方法です。ポジティブな感情を活用し、再び明晰夢を見やすくします。

ニールド・ドリーム(NILD)

WILDドリームを発展させた方法で、目が覚めたあと2時間以内に、直前の夢を思い出しながら再び眠りにつく手法です。記憶を保ったまま夢の世界へ戻る感覚を重視します。

明晰夢の種類が多様であることを示すイラスト



明晰夢を見たいと思うのはなぜ? その心理と魅力

多くの人にとって、明晰夢を一度見ることさえ簡単ではありません。 それでも「もう一度体験したい」と思うのは、そこに特別な魅力があるからです。

では、なぜ人は明晰夢を見たいと思うのでしょうか?その理由はいくつかあります。

  1. 夢の中で世界を自由に動かしてみたい
  2. 現実では不可能な体験をしたい
  3. 創造的なアイデアを生み出したい
  4. 無限の自由を感じてみたい

明晰夢では、自分の意識で夢の環境を作り変えたり、現実では不可能なことを試したりできます。 そうした体験を通して、新しい発想や気づきを得て、それを現実の生活や創作に活かす人もいます。3

自由自在に世界を操れるかもしれない——そんな好奇心も、明晰夢を試みる大きな理由のひとつです。


ここまで、明晰夢の見方やその種類について紹介してきました。 ただし、明晰夢を頻繁に見ることが、必ずしも良質な睡眠を意味するわけではありません。 睡眠の質が下がると、夢を見る回数が増え、内容をはっきり覚えていることも多くなります。

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テーマ
参照
      Lee, Donghoon. (2015). The Reality and Debate of Lucid Dreaming. Popular Science, 58-61.
      Yoon, Hanju. (2017). Unlocking the Potential of Dreams through Neuroscience: Lucid Dream. Brain, 63, 64-65.
      Shin, Jaegong. (2019). Understanding and Application of Lucid Dreams in Sleep Medicine. Sleep Psychophysiology, 26(2), 75-85.
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