私たちは眠ることで、心と体の疲れを癒し、次の日に向けてエネルギーを蓄えています。
しかし近年では、不眠に悩む人が急激に増えています。 不眠症は一見ささいなことのように思えますが、慢性的な睡眠不足は日常生活に影響を及ぼすだけでなく、性格の変化を招いたり、重症化するとさまざまな合併症を引き起こすこともあります。
不眠症がここまで深刻な問題になったのはなぜでしょうか。 近年の研究では、かつては存在しなかった“新しい要因”が、不眠の増加に関係していることが分かっています。 2009年時点では15.8%だった不眠症の割合が、2014年には28.6%まで上昇。 さらにコロナ禍を経て、その傾向は一層強まっています。
今回は、現代の眠りを妨げるこの「新しい要因」について、不眠症と睡眠障害の観点から探っていきましょう。
不眠症とは?
「昨夜なかなか寝付けなかった」「途中で何度も目が覚めた」――そんな経験を不眠症だと思う人も少なくありません。 ですが、医学的にいう“不眠症”はこうした一時的な寝づらさを指すものではありません。 十分な睡眠がとれず、日中もだるさや集中力の低下が続くなど、慢性的な睡眠不足によって日常生活に支障が出ている状態を指します。¹
不眠症は大きく分けて3つのタイプがあります。
1つ目は「なかなか寝つけないタイプ」。眠ろうとしても頭が冴えてしまったり、環境の影響で寝つけなかったりするケースです。中には、仕事や勉強が忙しくて、そもそも寝る時間を確保できていない人もいます。
2つ目は「眠りが浅いタイプ」。十分な時間眠っても疲れが取れず、夜中に何度も目が覚めてしまうのが特徴です。熟睡できないため、かえって疲労が蓄積してしまうこともあります。
3つ目は「寝ても疲れが取れないタイプ」。見た目にはしっかり眠っているようでも、起きたときにだるさが残っていたり、回復した実感が得られない状態を指します。
不眠の原因 ― なぜ眠りづらくなるのか?

冒頭でも述べた通り、不眠の原因は現代特有の要素が大きく関わっています。
大きく分けて「心理的要因」「感覚的要因」「現代社会の変化」の3つが主な原因とされています。以下、それぞれを詳しく見ていきましょう。²
心理的要因(ストレス)
不眠症の原因の中でも特に多いのが「心理的要因」、つまりストレスです。ストレスは脳を常に緊張状態にし、眠りを妨げてしまいます。現代ではストレスを感じる人が年々増えており、不眠の大きな要因となっています。 ですが、ストレスがすべて悪いわけではありません。適度なストレスホルモンは集中力や行動力を高め、私たちに良い影響を与えることもあります。
問題は、ストレスが過剰になったときです。ストレスが高まりすぎると、「コルチゾール」と呼ばれる覚醒ホルモンが過剰に分泌され、心拍数の上昇や感覚の過敏化を引き起こします。その結果、体が緊張状態から抜け出せず、夜になってもなかなか眠れなくなってしまうのです。 自分がどの程度ストレスを抱えているかを知る目安として、動悸、冷や汗、急な腹痛やトイレの回数増加などがあります。そんなときは、まず心身を刺激している状況から少し距離を置き、リラックスできる時間をつくることが大切です。³
感覚的要因(睡眠環境)
感覚的要因とは、いわゆる「睡眠環境」のことを指します。つまり、眠るときの環境自体が、不眠の原因になる場合もあります。 例えば、スマートフォンやテレビなどの光や音は、脳を刺激して覚醒を促す作用を持ちます。これらの刺激により、快楽を感じるドーパミンが分泌され、同時に睡眠を導くセロトニンの分泌が抑えられるため、眠気が遠のいてしまうのです。 都市部においては、「騒音」も大きな問題のひとつです。車やバイクの走行音、工事の音、人の話し声など、さまざまな音が睡眠の妨げになります。特に音に敏感な方にとっては、こうした環境が強いストレスとなることもあります。 また、夜遅くまで仕事や学習を続けていると、「夜食の誘惑」に悩まされることもあるでしょう。空腹で眠れないと感じることもありますが、実際には満腹の状態こそが深い眠りを妨げる要因となります。 食後は胃腸の働きが活発になり、身体が休息モードに入りにくくなるためです。質の高い眠りを得るためには、就寝前の刺激や食事を控え、穏やかな環境を整えることが大切です。⁴
現代社会がもたらす睡眠への影響
現代の発展は、私たちの暮らしに手軽さをもたらす一方で、ドーパミン過多という新たな問題も生み出しました。娯楽の多様化により、ドーパミンの分泌が過剰になり、「面白すぎて眠れない」「夜中までオンラインコミュニティを見ていて眠れない」といった状況が増えています。
しかし、原因は娯楽だけではありません。学生であれば夜遅くまでの勉強、社会人であれば残業などにより、十分な睡眠時間を確保できないケースも多く見られます。こうした生活リズムが続くことで、睡眠不足が慢性化し、不眠症へとつながっていくのです。
これまでナイトリーとともに、「なぜ私たちは眠れないのか?」というテーマで、不眠の原因についてお話ししてきました。ナイトリーは、皆さまの不安や悩みに寄り添いながら、より良い眠りの在り方を真剣に考えてきました。その答えとして生まれたのが、ナイトリーアプリです。モノラルビートの力で深い眠りへと導き、入眠時間を短縮することで、不眠から少しずつ解放されるようサポートします。
これからもナイトリーは、あなたの毎晩に寄り添い、健やかな眠りをお届けしてまいります。

