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PMSの裏側:不眠は月経周期にどう影響するのか

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月経周期の特定の時期になると、寝返りばかり打ってなかなか眠れなかった経験はありますか? 生理前や生理中に、なぜ睡眠が妨げられるのか、不思議に思ったこともあるかもしれません。 心当たりがある方も多いでしょう。実際、多くの女性が月経周期の中で何度も経験していることです。

月経前症候群(PMS)には、不眠という厄介な症状が含まれます。 睡眠の悩みは男性より女性に多く見られ、月経によってさらに悪化する傾向があります。 この記事では、その影響や上手な向き合い方について解説していきます。

女性のカラダと月経周期

月経周期とホルモン変化の図解

月経周期は、女性ホルモンによって調節される自然でありながら複雑なサイクルで、定期的な膣からの出血(生理)を引き起こします。

不眠と月経周期の関係は、個人差やホルモンの変動によって異なるため複雑ですが、一般的にエストロゲンやプロゲステロンといったホルモンは、女性をより覚醒させ、疲れを感じにくくし、気持ちを落ち着かせる働きがあります。

月経周期には4つの段階があります。

  1. 月経期(Menstrual Phase)
  2. 卵胞期(Follicular Phase)
  3. 排卵期(Ovulation)
  4. 黄体期(Luteal Phase)

第1段階は月経期です。前の周期で排卵された卵子が受精しなかった場合、月経が始まります。妊娠が成立していないため、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少します。

第2段階は卵胞期です。この時期は、脳から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されることでスタートします。FSHは卵巣を刺激し、5〜20個ほどの卵胞を育てます。卵胞の中には未発達の卵子があり、最終的に最も健康な1つだけが成熟します。残りの卵胞は体に吸収され、成熟した卵胞から分泌されるエストロゲンの影響で子宮内膜が厚くなります。これにより、受精卵が成長できる栄養豊かな環境が整います。

卵胞期の終わりにエストロゲンが上昇すると、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)が分泌されます。これが第3段階の排卵期を引き起こします。この時期、卵巣のどちらかから成熟卵子が放出され、卵管を通って子宮へと向かいます。そこで精子と出会えば受精し、妊娠につながります。ただし、卵子は1日以内に受精しなければ消滅します。基礎体温のわずかな上昇や、卵白のように透明で粘りのあるおりものが増えると排卵のサインです。排卵は個人差がありますが、16〜32時間ほど続きます。卵子が放出された後、卵胞は黄体に変化し、プロゲステロンと少量のエストロゲンを分泌します。

ここから黄体期に入ります。ホルモンの働きで子宮内膜は厚い状態を保ち、受精卵が着床できる準備が整います。もし受精がなければ、黄体はしぼみ、プロゲステロンの分泌が減少。子宮内膜が剥がれ落ち、月経が始まり、再び月経期へと戻ります。

PMSや月経期には、次のような症状が現れることがあります。

  1. 腹部の張り
  2. 乳房の腫れ・痛み・不快感
  3. 気分の変化
  4. 頭痛、体重増加、性欲の変化
  5. 食欲の増減
  6. 睡眠の困難/不眠

黄体期は、生理が始まるおよそ14日前から始まり、28日周期の中でも最も長い期間を占めます。

PMSの時期には、不眠がよく見られる症状のひとつです。

ただし、月経周期全体を通して、疲労がPMSや月経前不快気分障害(PMDD)の女性にどう影響するのかは、まだ十分に解明されていません。

一部の研究では、月経前の疲労感が少ない女性は、黄体期にプロゲステロンが安定して上昇している傾向があることが分かっています。

また、黄体期にプロゲステロンが急激に低下した場合は月経前症状が出やすく、緩やかに低下した場合はそうした症状があまり見られないという報告もあります。

PMS ― 最大の原因

月経周期の図

女性の約7〜10%は、生理の3〜6日前から睡眠パターンが変化すると報告しています。不眠や睡眠の質の低下に加えて、他のPMS症状を伴う人もいれば、睡眠の問題だけを経験する人もいます。中には、生理周期に関係なく睡眠トラブルが続く場合もあります。

PMS(月経前症候群)は、月経周期の黄体期に起こる身体的・精神的な症状で、生活や仕事に支障をきたすことがあります。症状は月経が始まると数日で軽くなります。世界では妊娠可能年齢の女性の約47.8%がPMSを経験し、そのうち約20%は日常生活に影響が出るほど重い症状を持っています。症状には食欲の変化、体重増加、腹痛、背中の痛み、頭痛、乳房の腫れなどがあります。

最も重いタイプが「PMDD(月経前不快気分障害)」で、生活の質や日常機能に大きな影響を与えます。PMDDの女性は、通常の月経前に起こるホルモン変化に対して、他の女性とは異なる反応を示すことが分かっています。

PMS・睡眠・ホルモンの関係

強い生理痛で予定を変えたり休むことになるのは、多くの女性にとってつらいものです。激しいけいれんや出血に加え、PMS症状がそれをさらに悪化させます。主な原因のひとつは、プロゲステロンとエストロゲンのバランスの乱れです。エストロゲンが高くプロゲステロンが低い状態は、深刻な睡眠障害を引き起こします。

メラトニンは脳の松果体で作られ、体内時計によって睡眠と覚醒のリズムを調整します。PMSでは睡眠リズムの変化や質の低下がよく見られ、黄体期には睡眠が遅れ、卵胞期には逆に早まる傾向があります。こうした質の低い睡眠は日中の眠気を招きます。

また、黄体期のプロゲステロン増加は体温を上げ、睡眠パターンを乱す可能性があり、これがPMSと睡眠障害の関係に関わっていると考えられます。

自分の周期を知ることが大切!

PMSが睡眠にどう関わるのかを詳しく見る前に、まずは自分の月経周期をきちんと理解しておくことが大切です。これは「いつ」「どんなふうに」生理が起こるかを知るだけでなく、健康状態と周期がお互いにどんな影響を与え合っているのかを知ることも含まれます。

ホルモンの働きやPMS、不眠との関係を大まかに理解できれば、自分のパターンや症状をつかみ、必要な対策や治療を取りやすくなります。

なぜこれらの問題に対処することが大切なのか?

睡眠障害を引き起こすホルモンバランスの乱れの図解

睡眠や深い眠りは、心身を回復させるために欠かせないものです。不眠や質の良い睡眠がとれないことは、PMSでよく見られる症状のひとつです。「ちょっと生活リズムが乱れるくらいでしょ?」と思うかもしれませんが、PMSによる不眠は健康を大きく損なう要因になり得ます。

まず、睡眠不足はメンタルヘルスに深刻な悪影響を与えます。不安感、憂うつ、気分の浮き沈み、そしてイライラなどは、睡眠不足によって引き起こされることがあります。

次に、十分な休養は身体の健康維持に不可欠です。眠っている間、体は免疫力を高め、健康を保つために再生・修復を行います。睡眠不足は免疫機能を弱め、感染症や病気にかかりやすくなります。

いずれにしても、PMSや不眠といった症状は、そ日常生活に影響します。だからこそ、こうした悩みにはきちんと向き合うことが大切です。生理周期の中で眠れない日が続くときは、そのままにせず、友人や医療の専門家に相談してみましょう。

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参照
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