バイノーラルビートとは?
バイノーラルビート(Binaural Beat)とは、左右の耳にわずかに異なる周波数の音を聴かせたときに、 脳がその差をひとつの「リズム」として感じ取る現象のことです。たとえば、左の耳に210Hz、右の耳に200Hzの音を聴かせると、脳はその差である10Hzを、あたかもひとつの周期的な波のように認識します。 このとき脳内で生まれる“10Hzのリズム”が、バイノーラルビートです。
🧠 バイノーラルビートの脳波同調現象
注目すべき点は、この聴覚的な錯覚が、脳の電気的リズム(脳波)と同期(brain entrainment)を起こす可能性があることです。たとえば、10Hzのビートを聴くと、脳波も徐々に同じ10Hz(シータ波帯域)のリズムに近づき、リラックスや集中、そして眠気など、特定の状態を引き出すことができるといわれています。
この「脳波同調(Brainwave Entrainment)」という現象は、1839年、ドイツの物理学者ハインリヒ・ドーヴ(Heinrich Dove)によって初めて発見されました1。 その後も、外部刺激と脳波のリズムが同期する「脳波同調」現象についての研究は、今も続けられています。
Schwarz & Taylor2の研究では、約40Hzのバイノーラルビート刺激によって「聴覚定常反応(Auditory Steady-State Response, ASSR)」が観察され、脳が外部のリズミカルな刺激に同期して反応することが確認されました。
さらに、Ioannou3の研究では、アルファ(10Hz)およびデルタ(1Hz)のバイノーラルビート刺激時にEEG上でアルファ波パワーが有意に増加する傾向が見られました。
また、Jirakittayakorn & Wongsawat4の研究では、シータ(6Hz)のバイノーラルビートを聴いているあいだ、実験群ではほとんどすべての電極部位でシータ波のパワーが増加しました。一方、対照群では大きな変化は見られませんでした。
このように、多くの研究でバイノーラルビートが特定の脳波帯域(例:アルファ、シータ、デルタ)と一時的に同期することが報告されていますが、その強度や一貫性は実験条件(ノイズ、音圧、刺激時間など)によって異なります5。
つまり、バイノーラルビートはすべての人に同じ効果をもたらすわけではありませんが、特定の状況では、リラックスや集中、そして眠りにつく前の安定した状態を促す可能性があります。
そして、その鍵となるのが「周波数の差」です。このわずかな差が、脳のリズムを変化させ、心と体の状態にも影響を与えるのです。
たとえば:
- デルタ波(0.5〜4Hz):深い睡眠と回復
- シータ波(4〜8Hz):リラックス・瞑想
- アルファ波(8〜12Hz):安定・集中
- ベータ波(12〜30Hz):覚醒・活動
このように、バイノーラルビートは単なる「睡眠用サウンド」ではなく、 脳のリズムを整え、心と体の状態を穏やかに導く音の技術として研究が進められています。
🌙 ナイトリーで、あなたの夜に変化を。
現在はiOS版のみ提供中
ナイトリーでは、これらの研究成果をもとに、毎晩、一人ひとりのユーザーに最適化されたバイノーラルビートをAIが自動で推薦するシステムを開発しています。AIが睡眠リズムや状態を学習し、最も心地よい周波数の組み合わせを導き出して、あなただけの睡眠体験をお届けします。
イヤホンを接続すると、自動的に「ヘッドフォンモード」に切り替わり、耳には穏やかな波のような音が広がります。脳と身体はそのリズムに導かれるように、ゆっくりと深い安定の中へ導かれていきます。
それは、ただの音ではありません。“脳と身体がともに眠りにつくリズム” です。
今夜、ナイトリーのバイノーラルビートで、心まで静かに整う眠りを体験してみてください。