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睡眠時無呼吸症候群は「太りやすさ」と関係している?

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私たちの体調やコンディションは、睡眠に大きく影響を受けます。眠りが浅かったり、睡眠時間が足りなかったりすると、体重が増えやすくなるなど、さまざまな不調につながります。中でも、睡眠を妨げる原因としてよく知られているのが睡眠時無呼吸症候群です。この状態が続くと体重が増えやすくなり、さらに体重増加が症状を悪化させるという、抜け出せない悪循環を招いてしまいます。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群と体重増加の関係に注目し、「睡眠時無呼吸症候群は体重増加の原因になるのか?」という疑問について詳しく見ていきます。

睡眠時無呼吸症候群とは?

まず、睡眠時無呼吸症候群がどのような状態なのかを見ていきましょう。これは単ないびきではなく、眠っている間に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気です。自覚しにくい一方で、放置すると高血圧や不整脈、心筋梗塞、脳卒中などの重大なリスクにつながることがあります。実際、重症の場合は突然の心停止のリスクが高まることも分かっており、早めに気づいて適切な治療を受けることがとても大切です。 睡眠時無呼吸症候群には、大きく分けて「中枢性」「閉塞性」「複合型(混合型)」の3つのタイプがあります。

  1. 中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA):脳から呼吸を指示する信号がうまく送られず、呼吸が止まってしまう状態で、重い病気や薬の副作用と関連することがあります。
  2. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA):最も多いタイプで、米国では約3,000万人が影響を受けているといわれています。睡眠中に気道が部分的、あるいは完全に塞がることで、いびきや息苦しさ、呼吸が止まるといった症状が起こり、眠りが妨げられます。その影響で、日中の頭痛や強い眠気、活動中にうとうとしてしまう、記憶力の低下、体重増加などの不調につながることがあります。
  3. 複合型睡眠時無呼吸症候群(CompSAS):閉塞性と中枢性の両方の特徴をあわせ持つタイプです。

この記事では、睡眠時無呼吸症候群の中でも特に多くみられる閉塞性タイプを取り上げ、体重との関係について考えていきます。発症には、性別や年齢、首回りの太さ、喫煙習慣、アルコールや睡眠薬の使用など、さまざまな要因が関係していますが、なかでも体脂肪の多さは大きなリスクの一つと考えられています。

睡眠時無呼吸症候群と体重増加の関係とは?

CPAP(シーパップ)装置を装着して眠っている人

睡眠時無呼吸症候群と体重増加は、相互に影響し合う関係にあります。「睡眠時無呼吸症候群は体重増加を引き起こすのか」という問いを明らかにするためには、この相関関係を正しく理解することが不可欠です。研究によると、体重の増加は睡眠時無呼吸症候群の発症リスクを高める要因の一つとされており、睡眠時無呼吸症候群のある人の約70%が肥満傾向にあると報告されています(Isaac Almendros, 2020)。

一部の研究によると、睡眠時無呼吸症候群と診断される直前に、体重が急激に増加する時期がみられるとされています。これは、睡眠時無呼吸症候群によって睡眠が妨げられ、強い疲労感が生じることで食欲や間食への欲求が高まり、さらに体重に影響を与えるホルモンバランスの変化が起こることが主な要因と考えられています。 過体重と睡眠時無呼吸症候群の発症を結びつける正確なメカニズムについては、現在のところ十分に解明されていません。しかし、首周囲への脂肪蓄積によって気道が狭くなり、睡眠中に閉塞が生じやすくなることが、主な要因の一つと考えられています。このような背景から、睡眠時無呼吸症候群が体重増加に関与する可能性も示唆されています。

睡眠時無呼吸症候群は体重増加の原因?

睡眠時無呼吸症候群が体重増加に関与する可能性があることは、すでに示されています。では、その影響は一方向に限られるのでしょうか。実際には、多くのケースにおいて相互に影響し合う関係が認められています。睡眠中に十分な酸素供給が得られない状態が続くと、代謝やホルモンの調整機能に影響を及ぼし、健康的な体重の維持が難しくなると考えられています。以下では、睡眠時無呼吸症候群が体重増加につながる要因について紹介します。

エネルギーの低下

エネルギーが低下している人

徹夜をしただけでも、日中の集中力や気力が大きく低下し、体が思うように動かないと感じることがあります。そう考えると、不眠が数か月、あるいは年単位で続いた場合、日々のエネルギー状態に与える影響は決して小さくありません。エネルギー不足が続くと、人は無意識のうちに消耗を避け、食事や仕事など最低限の行動を優先するようになり、運動や人との交流といった活動は後回しになっていきます。これは、スマートフォンが電池残量を抑えるために省電力モードに入る状態に似ています。その結果、手軽な食事に頼ったり、動かずに過ごす時間が増えたりすることで、体重が増えやすくなり、肥満につながる可能性があると指摘されています(Levy P., 2012)。

代謝の低下

代謝とは、体に取り込まれた栄養をエネルギーとして使い、消費していく一連の働きを指します。疲れがたまると日常の活動量が自然と減り、1日に消費されるエネルギー量も少なくなりがちです。こうした状態が続くと、体は次第に省エネモードに近づき、代謝の働きそのものが鈍くなっていきます。その結果、極端に食事量が増えていなくても、体重が増えやすくなる可能性があると指摘されています(Levy P., 2012)。

ホルモンバランスの乱れと食欲の増加

睡眠の質が低下すると、体内のホルモンバランスが崩れ、体重管理が難しくなります。十分な睡眠が取れない状態はそれ自体が身体的ストレスとなり、ホルモン分泌の調整機能に影響を及ぼします。 睡眠不足が続くと、食後の満腹感を脳に伝えるホルモンであるレプチンの分泌が低下します。一方で、空腹感を促すホルモンであるグレリンは分泌が増えやすくなります。

このような変化により、実際には十分な量を摂取していても満足感を得にくくなり、「まだ足りない」と感じて食事量が増えてしまう傾向が生じます。さらに、質の高い睡眠が不足すると、短時間でエネルギーを補給できる糖分や精製された炭水化物を多く含む食品を欲しやすくなることも知られています。 こうしたホルモンの乱れと食行動の変化が重なることで、睡眠時無呼吸症候群は体重増加につながる可能性があると指摘されています(Taheri S. ほか, 2004)。

インスリン抵抗性

睡眠時無呼吸症候群があると、肥満や糖尿病と関連の深いインスリン抵抗性が生じやすくなることが分かっています。インスリンは、体に脂肪を蓄える働きを持つホルモンであり、同時に空腹感を強め、食欲を高める作用もあります。そのため、睡眠時無呼吸症候群によってインスリンの働きが乱れると、必要以上に食欲が増し、体重が増えやすくなる可能性が指摘されています(Taheri S. ほか, 2004)。

体重を減らすことでOSA(閉塞性睡眠時無呼吸症候群)の症状は改善する?

暗い部屋に置かれた体重計

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)や肥満に対して適切な対策が取られないままでいると、症状が互いに影響し合う悪循環に陥りやすくなります。体重の増加によってOSAの症状が悪化し、その影響でさらに体重が増えてしまう――こうした状態が繰り返されることで、状況は徐々に深刻化していきます。ほかにも健康上の問題を抱えている場合、この流れを断ち切ることはより難しくなっていきます。

一方で、この悪循環は改善できることも分かっています。体重を減らすことで睡眠の質が向上し、それ自体がOSAの有効な治療につながる可能性があります。実際、体重を約10%減らすだけでも、OSAの症状が20%程度軽減される可能性があると報告されています(Jehan S. ほか, 2017)。

睡眠時無呼吸症候群を治療すると、体重減少につながる?

睡眠時無呼吸症候群の治療には多くの利点がありますが、その中でも最も顕著なのは、十分な休息が得られ、日中の活力が回復する点です。治療を受けた患者の中には、生活の質が大きく改善したと感じ、CPAP療法を継続する意向を示す人も少なくありません。一方で、睡眠時無呼吸症候群の治療が体重減少に直接的な効果をもたらすかどうかについては、現時点では研究結果が一致しておらず、明確な結論は示されていません。

一方で、睡眠時無呼吸症候群の治療が、体重管理を間接的に後押しする可能性を示す研究もあります。CPAP療法を開始した人では、治療前と比べて日常の身体活動量が増加したという報告があり、その変化は健康状態の改善につながる水準だったとされています(Nigel McArdle, 1988)。

また、治療の開始により、食欲に関与するホルモンであるグレリンやレプチンのバランスにも変化が見られることが分かっています。こうしたホルモンの調整によって食欲をコントロールしやすくなり、無理なく栄養バランスの取れた食生活を続けやすくなる傾向があります。さらに、活動量の増加が重なることで体重減少が促され、その結果として睡眠時無呼吸症候群の改善にもつながっていくと考えられます。

CPAPは体重増加の原因になる?

肥満は、いくつもの要因を通じて、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)と長く関係してきたことが知られています。首まわりに脂肪がつくことで上気道が狭くなったり、腹部脂肪の増加によって肺の動きが制限されたりすることが、その一例です。また、胸部周辺への脂肪の蓄積は肺機能そのものを低下させ、呼吸を妨げる要因となります。さらに、肥満に伴って生じやすいレプチン抵抗性は、呼吸のリズムを不安定にし、OSAの発症や悪化に関与すると考えられています。

肥満やBMI(体格指数)の上昇は、神経ホルモンの変化など複数の要因を通じて、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)のリスクを高めると考えられています。これらの神経ホルモンは、満腹感や空腹感の調整、食の好み、さらには運動への意欲や身体活動量にも関わっており、そのバランスが崩れることでOSAの発症や悪化につながりやすくなります。

一方、研究によると、閉塞性睡眠時無呼吸症候群を適切に診断し、CPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療を行うことで、生理学的な状態が改善され、体重減少を目指す肥満の人にとって、減量に取り組みやすくなる可能性が示されています(Jehan S. ほか, 2017)。

睡眠時無呼吸症候群と体重増加を管理するための健康的な生活習慣

睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減するために運動している人

睡眠時無呼吸症候群と体重増加の管理に役立つ、いくつかの健康的な生活習慣について紹介します。

健康的な食生活を維持する

健康な体づくりの基本となるのは、やはり日々の食事です。栄養バランスの取れた食生活は、体重管理に欠かせないだけでなく、睡眠時無呼吸症候群と向き合ううえでも大きな意味を持ちます。普段何を食べているかは、体調だけでなく、眠りの質にも影響を及ぼします。そのため、体重が増えやすい食事や、症状を悪化させるおそれのある飲食物は意識的に避けることが、状態の改善につながると考えられています(Jehan S. ほか, 2017)。

定期的に運動する

運動を習慣にすることは、心身のコンディションを整えるうえで重要です。適度に体を動かすことで、無理のない体重管理がしやすくなるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群の症状を和らげたり、睡眠の質を高めたりする効果も期待できます。 また、運動を行うことで体内ではエンドルフィンの分泌が促され、気分が前向きになり、ストレスの軽減にもつながることが知られています(Taheri S. ほか, 2004)。

良い睡眠習慣を身につける

睡眠時無呼吸症候群をコントロールし、睡眠の質を高めるためには、いわゆる「睡眠衛生」を意識することが大切です。具体的には、眠りやすい環境を整えること、カフェインなどの刺激物を控えること、そして就寝・起床時間をできるだけ一定に保つことが挙げられます。

また、就寝直前のテレビ視聴やスマートフォンなどの電子機器の使用を控えることで、長い目で見たときに睡眠の質を保ちやすくなると考えられています(Youngstedt S.D. ほか, 2016)。

アルコールやカフェインの摂取を控える

カフェインやアルコールは、睡眠の効率を下げるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群の症状を悪化させる要因にもなります。そのため、特に夜間は摂取量を意識的に控えることが重要です。

アルコールは喉の筋肉を緩める作用があり、睡眠中に気道が狭くなりやすくなることで、呼吸が妨げられる原因になります。一方、カフェインはストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を促し、覚醒状態を高めることで睡眠を妨げる可能性があります。こうした影響が重なることで、睡眠の質が低下してしまうと考えられています(Mohammad Adam Ahmed Elnour, 2019)。

医療機関を受診する

睡眠時無呼吸症候群や体重増加への対処は、生活習慣の改善だけでは十分でないこともあります。症状が長く続いている場合や、日常生活に支障を感じている場合には、早めに医療機関へ相談することが大切です。 これまでに触れてきたように、CPAP療法をはじめ、薬による治療や手術なども、状態に応じた選択肢として検討されます。専門的な診断を受け、自分に合った治療を進めていくことで、症状の改善につながる可能性があります。

まとめ

睡眠時無呼吸症候群は、体重の増加だけでなく、さまざまな体調不良と関係することが知られています。適切に診断を受け、必要な治療を行うことは、体重管理はもちろん、日々の体調を整えるうえでも大切です。

また、この症状は治療だけで完結するものではなく、食事や運動、睡眠の取り方といった生活習慣全体を見直していくことが欠かせません。もし思い当たる症状がある場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。そうした積み重ねが、無理のない形で健康を取り戻すことにつながっていきます。

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