近年、さまざまな悩みの中でも、睡眠は特に関心が高まっているテーマの一つです。ストレスの増加や生活習慣の変化を背景に、睡眠に関する不調を抱える人は以前より増えています。本記事では、睡眠の仕組みの中でも「レム睡眠」と「レム睡眠行動障害」について、わかりやすく解説します。
レム睡眠行動障害とは?
レム睡眠(REM sleep:Rapid Eye Movement sleep)は、人が夢を見ている時間帯として知られています。1950年代、睡眠中の乳児を研究していた研究者が、眠っている人のまぶたの下で眼球が素早く動く現象を発見しました。この特徴的な動きが「急速眼球運動(Rapid Eye Movement)」と呼ばれることから、この睡眠段階はレム睡眠と名付けられました。
他の睡眠段階では脳の働きが徐々に落ち着いていきますが、レム睡眠中は起きているときに近い状態となり、脳は活発に活動します。そのため脳波は不規則に変化し、目を閉じたまま眼球が素早く動き、心拍数が高まり、呼吸も不安定になります。一方で、筋肉はほとんど力が抜けた状態となり、体は動かず、全体としては深くリラックスした状態が保たれます。
レム睡眠が果たす働き
睡眠の段階
私たちの睡眠は、いくつかの段階を繰り返しながら成り立っています。一般的には、第1段階から第4段階までのノンレム睡眠と、特徴の異なるレム睡眠によって構成されています。レム睡眠(REM sleep:Rapid Eye Movement sleep)は、その中でも脳の働きが活発になる、少し特別な睡眠段階です。
第1段階は、目を閉じて徐々に眠りへ移行していく浅い睡眠の状態です。まだ外部の刺激にも反応しやすく、眼球の動きは少ないものの、筋肉は次第に緩み、脳波にはアルファ波やシータ波といった穏やかな波が現れます。
第2段階では、意識がはっきりと眠りの中に入り、呼吸や心拍数などの身体機能が少しずつ落ち着いていきます。脳波は引き続きゆっくりとしたリズムを保ちながら、睡眠としての安定性が高まる段階です。
第3段階は、いわゆる深い睡眠にあたります。この段階ではデルタ波が優位となり、筋肉の緊張が大きく緩み、呼吸や心拍数もさらに低下します。心身の回復にとって特に重要な時間帯とされています。
最後に紹介するレム睡眠は、睡眠中に現れる特徴的な段階の一つです。この段階では脳波が速いリズム(主にベータ波)へと変化し、目を閉じたまま眼球が素早く動くのが特徴です。
これまでに触れたように、レム睡眠は主に夢を見ている時間帯として知られており、体の筋肉はほぼ完全に力が抜けた状態になります。研究によると、レム睡眠中には、翌日に備えて必要な物質の合成が行われたり、記憶の整理や定着が促されたりするなど、さまざまな重要な働きが進められています。また、免疫機能を支える役割も担っていると考えられています。
さらに、レム睡眠中に起こる脳の活動の変化は、心の安定やストレスの緩和にも深く関わっています。感情のコントロールや認知機能の維持といった、健康的な生活を送るうえで欠かせない働きにも影響を与えるとされています。そのため、十分なレム睡眠を確保することは、心身の健康を保ち、質の高い日常生活を送るために欠かせない重要な要素の一つといえるでしょう。
レム睡眠に問題が生じた場合に起こりやすいこと
睡眠に関する研究によると、レム睡眠が十分に取れなかったり、正常に機能しなかったりすると、さまざまな不調が現れる可能性があります。こうした影響は、精神面だけでなく身体面にも及び、私たちの健康や日常生活に大きな影響を与えることが知られています。
- 記憶力・学習能力の低下/レム睡眠は、脳が新しい情報を整理し、記憶として定着させるうえで重要な役割を担っています。レム睡眠が不足すると、記憶力や学習効率が低下しやすくなります。
- 心理的な安定の低下/レム睡眠はストレスの軽減や感情の調整にも深く関わっています。十分に取れない状態が続くと、感情をコントロールしにくくなり、抑うつ感や不安感、場合によってはパニック症状などが現れることがあります。
- 免疫機能の低下/レム睡眠は、体の免疫機能を支える役割も果たしています。レム睡眠が不足すると免疫力が低下し、さまざまな病気にかかりやすくなると考えられています。
- 体力の低下/レム睡眠は、身体の回復や再生にも重要です。不足すると疲労が取れにくくなり、体力の低下や日常生活での不調を感じやすくなります。
- 生活の質の低下/レム睡眠が十分に確保できない状態は、集中力や意欲の低下につながり、日常の活動やパフォーマンス全体に影響を及ぼします。その結果、生活の質そのものが低下する可能性があります。
睡眠中の寝言はなぜ起きる?
結論として、これらの症状はレム睡眠の乱れと深く関わっています。ここからは、レム睡眠に異常が生じた際に見られる代表的な睡眠障害について、順に見ていきましょう。
- レム睡眠行動障害(REM Sleep Behavior Disorder)/レム睡眠中に、体を大きく動かしたり、声を出したりするなど、過剰な行動が現れる睡眠障害です。本来レム睡眠中は筋肉が緩んで体は動きませんが、この障害では筋緊張が高まり、夢の内容と連動した大きな動作や寝言などの異常行動が見られます。女性よりも男性に多く、加齢とともに発症しやすい傾向があり、パーキンソン病などの神経変性疾患と関連することがあると報告されています。
- 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea)/睡眠中に呼吸が一時的に止まる、または浅くなる状態を繰り返す睡眠障害です。睡眠の質が大きく低下し、日中の強い眠気や疲労感、集中力や記憶力の低下などを引き起こすことがあります。
- 睡眠時遊行症(いわゆる夢遊病/Somnambulism)/主に小児や思春期の年代に多く見られる睡眠障害で、眠っている間に歩き回るなどの行動が現れます。多くは成長とともに自然に改善しますが、成人になっても続く場合は、他の疾患や強いストレスが関係している可能性があり、注意が必要です。原因は明確には解明されていませんが、強いストレスや家族歴との関連が指摘されています。
- ナルコレプシー(Narcolepsy)/主に思春期から青年期に発症しやすい睡眠障害です。日中の強い眠気や突然眠り込んでしまう睡眠発作をはじめ、金縛り、入眠時や覚醒時の幻覚、悪夢、集中力の低下などの症状が見られます。
週に1回以上、明け方に強い寝言や大きな動きが見られる場合は、レム睡眠行動障害の可能性を考え、専門的な検査を検討することが勧められます。レム睡眠行動障害は、睡眠ポリグラフ検査(睡眠多元検査)によって診断されます。この検査では、睡眠中のさまざまな生理的信号を記録し、睡眠の状態や睡眠障害の有無を詳しく評価します。レム睡眠中に、夢を見ている間にもかかわらず筋肉に力が入っていないか、またそれがどのような行動として現れているかを確認することができます。
レム睡眠行動障害の治療では、薬物療法に加えて、安全な睡眠環境を整え、けがを防ぐことが重要です。割れやすい物や尖った物は寝室から取り除き、転落の危険がある高いベッドは避け、可能であれば床で眠ることが望ましいとされています。ベッドを使用する場合は高さを低くし、体を守るためのクッションなどを周囲に置くと安心です。さらに、つまずきやすい物を片付け、他人と距離を保てる睡眠環境を確保することも大切です。
また、質のよい睡眠を保つためには、日頃から安定した生活リズムを意識することも大切です。日中に長く眠ってしまうことは避け、睡眠を妨げやすいカフェインやアルコール、喫煙は控えるようにしましょう。適度な運動は睡眠の質を高める一方で、就寝直前の激しい運動はかえって睡眠のバランスを崩す原因となるため、注意が必要です。
今回は、レム睡眠とレム睡眠に関連する睡眠障害についてご紹介しました。睡眠が、私たちの心身の健康や日常生活に大きな影響を与えていることを、あらためて感じていただけたのではないでしょうか。
普段なかなか深く眠れないと感じている方は、ナイトリーを取り入れて、より穏やかで心地よい睡眠時間を目指してみてはいかがでしょうか。



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